【完】好きになれよ、俺のこと。
私は、ベッドのすぐそばにひざまずき、叶翔の手を握りしめた。
じわりと目頭に熱いものが込み上げ、それは制御する間もなく、ぽとりぽとりと真っ白のシーツを濡らす。
……早く、目を覚ましてよ……。
私、思い出したんだよ……?
気持ちはちゃんと、繋がってたんだよ……。
なのに……
いなくなったりするなんて、だめだよ……っ。
手を握る力を込めた。
ねぇ、お願い……
目を覚まして……
「……叶翔……っ!」
そう叫んだ、その時───
意識がない叶翔の閉じられた目から、つーっ…と涙が一筋流れた───。