【完】好きになれよ、俺のこと。
立ち止まり、目を見開いてこちらを振り返る委員長。
『え……?
な、なんで安堂が……』
なんでって、そんなの……決まってる。
『他の男に送らせたくないから』
『叶翔くん……』
陽向が今にも消え入りそうな声を上げ、俺を見上げた。
なぜそんなことを口走っていたのか、分からない。
でも、他の奴と陽向と委員長がふたりきりになるのが許せなかった。
驚いていたのは、委員長も同じで。
明らかに動揺したように、でもそれを隠すように苦笑いを浮かべた。
『は? 俺は委員長だぞ?』
『でも、こいつの彼氏は俺だよ』
『なっ……。
っていうか今、彼氏って言った!?』
『そーいうことだから。
行こ、陽向』
『え、あ、うんっ……』
俺は驚いたままの陽向の手を引き、委員長の手から荷物を攫うと保健室を出た。