【完】好きになれよ、俺のこと。
と、その時鳴ったチャイムが俺の思考を遮り、
それに代わるように、俺ははっと、姉貴から夕食の買い出しを頼まれていたことを思い出した。
姉貴は更生したといっても、去年くらいまではここら変を仕切るレディースの総長だった。
そんな姉貴からの頼まれ事をすっぽかしたなんて言ったら、俺の命がどうなるかなんて知ったこっちゃない。
しょうがない、帰るか。
雨は………まぁ、ずぶ濡れになるだろうけど。
『ごめんねー。
俺用あるから帰るわ』
『うん、ばいばーい!』
身の危険を感じた俺は、そんな声を背中に受けながら、鞄を持って教室を後にした。