イジワルな先輩との甘い事情


「っていうかさー、もう聞けばいいじゃん。ちゃんと付き合ってるんだから」

ははって笑う松田に、本当にその通りだとも思うのだけど……。
あまり突っ込んで聞いたら面倒がられちゃうかな、とか、そういう気持ちが私の中にはあって。
それは間違いなく、曖昧な関係の後遺症であって癖なのは確かだった。

先輩もそれには気づいているみたいで、私が言葉を呑みこむと〝なに?〟って優しく聞いてくれるから、気にしてくれているのかもしれない。

もしかしたら、そういうのが溜まり溜まって少しこじれているのだろうか……。

「そういえば松田も出るんだよね、クリスマスパーティ」

メープルシロップたっぷりのパンケーキを食べながら聞くと、松田が頷く。

「おー。出る。俺、去年も出たし。まぁ、軽い合コンだよな、あれは」

「やっぱり、そうなの?」と驚くと、園ちゃんが頷きながら言う。

「らしいね。長井工業主催の合コンだと思った方がいいって総務の先輩も言ってたし。
長井工業と親交のある会社の若い社員集めて、飲んで騒ぐだけなんでしょ?」
「おー。そんな感じ。なんか、今の若社長がそういうの好きらしくてさ。
去年なんか、途中でわざと電気消してさー、気に入ったヤツいたらなんかしろみたいな事言い出してまいった。
俺、そういうの苦手でもないけど、会社と関係するヤツと何かあるのは面倒だからさー」
「松田の考えが普通でしょ。いくらクリスマスパーティだって言ったって、みんな仕事の一環として集めさせられてるだけじゃない。
長井工業が毎年来い来い言うから、社内で無理して見繕ってるっていうのにね。
本気で招待客が楽しんでると思ってるのなんて若社長だけでしょ」

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