イジワルな先輩との甘い事情


「え……今年、うちの課だったんだ……」
「おー、確かそうだろ。男の方は、融資管理課と、それと足りない分は営業で補うって感じだったけど、女子は預金課ってなってたし」
「わざわざ24日にするっていうのがまたムカつくよね。そんな一大イベントの日に若い男女呼びつけて……本当趣味疑うわ。
花奈子、服、控え目なヤツにした方がいいよ。暗くなんかされちゃったら何されるか分かんないし」

園ちゃんにパクパクとパンケーキを食べながら言われて、ああそうかと思う。
仕事とはいえ、制服ってわけにはいかないんだって。

「服、普通のじゃダメだもんね。でも、結婚式とかに着るほどのモノじゃないよね? ワンピ―スとか?」
「んー、それが無難かもね。男はスーツでいいんだろうけど、女はスーツじゃ固すぎる気がするし。
ワンピースでキレイ目なパンプスでも履いて行けばいいんじゃない? ブーツでも問題なさそうだし。
どうせ二時間とかだし、手持ちのでいいと思うよ」
「そっか」
「去年とかは割とラフな格好のヤツもいたし、普段着でも問題ないくらいだから心配しなくても平気だろ。
男でも、スーツじゃなくてロンTにジーンズみたいなヤツもいたし。
スーツだと畏まっちゃうからなるべくラフにって、若社長が言ってたからなー。俺も今年は私服持って行くかな」
「松田、私服なんかで行ったら余計チャラチャラして見えちゃいそう……」

ぽそりと呟くと、松田が「マジで?」と苦笑いを浮かべて、自分の着ている服を見下ろす。

松田が着ているのは、割とタイトな白系ロンTの重ね着にダメージ加工のジーンズ。首ともにはシルバーのネックレスをつけていて、椅子の背もたれにかかっている上着はマスタードのブルゾン。フードの内側にカーキ色が見える。

間違っても先輩は着ないような服だけど、松田には似合ってるし趣味も悪いわけでもなく、見てる分にはオシャレだなぁとも思うのだけど……。

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