イジワルな先輩との甘い事情
「これチャラい?」
「チャラい。え、チャラいと思って着てるんでしょ? 馴れ馴れしい性格には合ってるけど、それじゃあまた抱きつかれるよ。
もう、髪ベッターって固めてスーツで行けばいいんじゃない? 堅物に見られれば誰も近づかないだろうし」
即答して意見した園ちゃんに、松田は「えー」と不満そうな声を漏らす。
いつも毛先をいい感じに遊ばせている松田しか見た事ないから、髪を固めたところも見てみたいけど……似合わなそうだなと思う。
「まぁ、問題になるよりはそれもありっちゃありかなーとも思うけど……。
柴崎が行くんなら一緒にいられれば他の子も寄ってこないだろうけど」
「あ、席決まってるんだっけ?」
園ちゃんが聞くと、松田が頷く。
「立食なんだけど、テーブルは決まってんだよ。で、一時間経ったらシャッフルすんの。
若社長が、同じ会社ではまとまんないようにって席決めしててさー。もう独壇場だよ。あの人多分、一年であのイベント一番楽しみにしてるよな。
もうあそこに集まったヤツらは二時間、若社長のコマみたいなもんだし」
「親が甘やかしたいい例よね。黙って仕事してればまぁまぁの男なのにね。
あーあ。玉の輿に乗りたいとは思うけど、最近親に甘やかされた悪い例ばっか見るからモチベーション下がるなー。
長井工業の若社長といい、古川といい」
はぁ、とため息をついた園ちゃんが空になったお皿を持って席を立つ。
私も、と、パンケーキやトッピングの並ぶコーナーの前に立つ園ちゃんの隣に立つと、それに気づいた園ちゃんが「さっきの話だけど」って話しかけた。