イジワルな先輩との甘い事情


「うん?」
「遠慮しすぎなんじゃないかって話。私から見ててもやっぱりそういう傾向に見えるから、少しずつでいいから直していった方がいいよ。
ずっと一緒にいたいなら、遠慮とかあると難しいと思うから。
パンケーキ、厚いのにする?」
「あ、うん。ありがとう」

三種類の厚さがあるパンケーキのうち、一番厚いサイズのものを、園ちゃんが私の持っているお皿に乗っけてくれる。
園ちゃんはそれを自分のお皿にも乗っけた後、これでもかってほど生クリームをどっさりとかけた。

「優しいのは花奈子の長所だけど、そういう花奈子だからこそ、わがままだって可愛いし嬉しいって北澤さんは思うのかもよ。
生クリームどれくらい?」
「あ、園ちゃんの半分くらい……」
「それに、普段の花奈子を知ってるからこそ、ちょっとしたわがままでも自分だけに見せてくれてるんだって思うと独占欲も満たされそうだし。何気に北澤さんって独占欲強そうよね。
チョコシロップとフルーツ、どれくらい?」
「……園ちゃんの半分の半分くらい」

山盛りに乗ったフルーツとこってりとかかったチョコシロップに苦笑いを浮かべると、「なによ、情けないわねー」と眉を寄せられてしまった。

なんだか、園ちゃんの言ってくれた事が半分くらい、パンケーキやチョコシロップに埋まってしまってあまり頭に入ってこなかったけど……。
私のためを思って言ってくれたのは分かったから。

「園ちゃん、ありがとね」と笑うと、「よそってあげたくらいでおおげさね」ってわざとなのか笑われた。





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