偽りの自分。
あたしより速い?




何それ、許せない!



あたしは、全力で走る。


今まで軽く走るだけでも1位だったのに。




吉野とあたしの差は、縮まらない。


あたしより速いなんて......!





『吉野さん、6秒5!』




あたしより先にゴール!?



『桜田さん、6秒9!』



嘘、1秒も違う。



『美香さん、7秒14!
雫さん、7秒15!』





『吉野さん凄いね~!!速すぎだよ!』


女子の皆が、吉野の周りに集まる。


何よ。
皆、吉野ばっか。


『あ、ありがとう。
スタートダッシュ失敗したから不安だったけどなんとか…』


うっざ。


『ミスも残念だったね。
でも、凄かったよ~。』


美香がにこにこしながらあたしに言う。



『...あたしは、1番じゃなきゃ嫌!』



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