偽りの自分。


次の日


『おはよー!』

あたしが手をふって、教室に入ると
みんな、笑顔で手をふり返す。


『吉野さんもおはよう!』


吉野さんが座る席を横切るとき、
あたしは笑顔で挨拶をした。


『おはよ。』

吉野さんは、ニコッと笑った。


か、可愛い....


女子のあたしでさえ、その笑顔にはやられてしまう。


あたしは、自分の席についた。


『ミス、おはよ~!』
 
雫と、美鈴があたしの席へとやって来る。


『おはよ。』


あれ?


美香は?


あたしは教室全体を見渡した。


美香の姿がない。


『あれ、美香は?来てないの?』


あたしは二人に尋ねた。

電車では会わなかったけど...


『....あぁ....来てないみたいだね...。』


二人は、困った顔で静かに言った。





『美香が来ないなんて、良かった.....』



あたしは、雫が静かに言ったのを聞き逃さなかった。


やっぱり、美香は避けられているんだ。

いきなり、立場が変わったみたいだな....。


すると、


ガラガラ



勢いよく、教室のドアが開いた。

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