イジワルな旦那様とかりそめ新婚生活
中学までは苦手だった英語も、洋書を読んでいくうちに苦手意識はなくなっていった。

高校に入学してすぐに私はこの図書室に入り浸った。

お昼休みも、放課後も……。

いつからだろう?

放課後うたた寝をしていると、私の肩に大きな学ランがかけられるようになったのは……。

ちょうど『高慢と偏見』の本にはまった頃からかもしれない。

うたた寝をして決まって夢に出てくるのは、その小説の主人公が恋をする相手。

「……う~ん、ダーシー……」

目を擦りながら、目を開ける。

「……あれっ、ダーシーは?」

頭の中はまだ夢か現かわからずボーッとしている。

窓の外は空が赤く染まって、気づけば図書室には私一人しかいなかった。

「今日はもう帰ろ……」

読みかけの本を閉じようとすると、本の横にピンクの可愛い包み紙に包んである飴が一つ置いてあった。
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