イジワルな旦那様とかりそめ新婚生活
「でも、桜子ちゃんがショールって珍しいね。ひょっとして……」

久世さんが私のショールに軽く指を触れると、私はゴクリと息を飲んだ。

ああ~!やっぱり今日もこのパターンなの?

久世さんがスルッとショールを外し、露になった私の首筋を凝視する。

ブチッと何かがキレた音が聞えたような気がした。幻聴だろうか?

彼は数十秒無言だった。

生きた心地がしない。空気が張つめる。

この静寂……怖い‼

「……これは派手にやられたね。いけない狂犬だな」

刹那さんの噛み跡に久世さんがそっと触れると、身体がビクンとなって、身体中にビリビリと電流が走ったような気がした。

にっこり久世さんは笑うけど、今日は……こめかみがピクピク動いているし、キレていませんか?

今の久世さんと目が合うと、石にされてしまうような気がします。
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