イジワルな旦那様とかりそめ新婚生活
式の流れを思い出す前に、鷹司さんが左手で私の腰をつかみ、私の顎に手を添える。
肝心な事をすっかり忘れてた。キスする振りだけだよね?
ちょっと怯えながら逃げ腰で鷹司さんを見ていると、かすかに彼の唇が弧を描いた。
次の瞬間、彼の顔が近づいて私の唇に触れる。
柔らかいその感触。
フワッと甘い香りが漂う。
……う…そ……。
本当にするなんて。
私は驚きで目を見開いたまま、鷹司さんを見つめる。
彼は私と目が合うとフッと微笑した。面白がってるようなその表情。
この冷血メガネ男、何考えてるの?
姉が逃げたから、その腹いせに私を苛めて楽しんでるんだろうか。
プライドが高そうだし、姉の逃亡は彼にとって屈辱だったはずだ。
でも……何かが引っかかる。
彼の……この余裕な顔と今のキス。
梅園桜子、二十四歳。彼氏いない歴=実年齢。
人生初のファーストキスは、かすかに甘い桃の匂いがした。
肝心な事をすっかり忘れてた。キスする振りだけだよね?
ちょっと怯えながら逃げ腰で鷹司さんを見ていると、かすかに彼の唇が弧を描いた。
次の瞬間、彼の顔が近づいて私の唇に触れる。
柔らかいその感触。
フワッと甘い香りが漂う。
……う…そ……。
本当にするなんて。
私は驚きで目を見開いたまま、鷹司さんを見つめる。
彼は私と目が合うとフッと微笑した。面白がってるようなその表情。
この冷血メガネ男、何考えてるの?
姉が逃げたから、その腹いせに私を苛めて楽しんでるんだろうか。
プライドが高そうだし、姉の逃亡は彼にとって屈辱だったはずだ。
でも……何かが引っかかる。
彼の……この余裕な顔と今のキス。
梅園桜子、二十四歳。彼氏いない歴=実年齢。
人生初のファーストキスは、かすかに甘い桃の匂いがした。