イジワルな旦那様とかりそめ新婚生活
溺愛……?

自分の私生活で初めて聞く言葉だ。

刹那さんの私へのあの行動全てが溺愛と言うのか?

う~ん、わからない。

やっぱり経験値が足りないから?

本の世界に逃げてたつけが今来ているのだろうか?

「まあ、桜子ちゃんもそんなに悩まないで。融資とか政略結婚とか、そういう下らない考えや刹那兄への偏見を捨てて刹那兄のこと見てくれないかな?僕はこのまま桜子ちゃんが刹那兄の本当の奥さんになってくれたら嬉しいよ」

本当の奥さん……?

だってそれはお姉ちゃんなのに……。

「……右京さん、冗談キツいです。お姉ちゃんの事、忘れちゃダメですよ。刹那さんから、お姉ちゃんの事何か消息が掴めたとか聞いてませんか?」

「調べてはいるんだけど、まだ掴めてはいないんだ。ごめんね」

右京さんは申し訳なさそうに謝るが、久世さんからの情報を知ってしまった以上、彼の言葉はやはり信用出来ない。
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