イジワルな旦那様とかりそめ新婚生活
「毎日騒がしい奴だな。ほんと、退屈しない」

「うっ……面目ないです」

刹那さんと目を合わせられなくて、じっと自分の手を見る。

「今度こそほんとに寝ろ。でないと襲うぞ」

刹那さんは今度は意地悪な笑みを浮かべ、私の髪にチュッとキスを落とす。

「わ~、寝ます!今すぐ寝ます!」

横になってあたふたしながら布団を被ると、刹那さんはクスクスと声を上げて笑った。

……またからかわれた。

刹那さんって意外によく笑うよね。

もっと冷たい人だと思ってたけど、今日もいろいろ助けてくれたし面倒見が良い。

右京さんの言うように私は偏見の目で彼を見ていたのかもしれない。

刹那さんがいなかったら、もっと大変な事になっていたかも。

病院の先生は応急処置が良かったと刹那さんを褒めていた。

世話を焼いてくれる人がいるっていいものだ。一緒にいたのが母かお姉ちゃんだったら、私はきっと放置されていただろう。基本的にあの二人を頼りにしてはいけない。父も……そんなに頼りにならないけど。

朝起きたらお礼に美味しい朝食を用意してあげよう。

二杯目のお茶漬けもお預けになっちゃったし……。
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