イジワルな旦那様とかりそめ新婚生活
「それにしても六号なんて細い指だな。一カラットのダイヤでも二カラットぐらいに見える」

「ガリガリしてて、嫌なんですけどね」

「マニキュアもしてないし、貧相な手だな」

私の手をまじまじと眺めながら、鷹司さんが率直な感想を口にしクスッと笑う。

手で笑われる私って……。

「貧相な手で悪かったですね」

へそを曲げてプイッと横を向くと、鷹司さんが恐ろしい事を言った。

「この指輪に愛の言葉でも掘ってもらうか?少しはリアリティー出るだろ?」

鷹司さんの手にあるのは、ブランドのロゴも入っていないクラシックなデザインのシンプルな指輪。

「私を相手にする時点でリアリティーにかけますよ!」

「そう思っているのは本人だけかもな」

意味深な言葉を口にすると、鷹司さんは店員を呼んで紙とペンを持って来させ何か書き込んで店員に渡した。

あ~、もう早く帰りたい。

疲労も限界。
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