イジワルな旦那様とかりそめ新婚生活
余計な事は言うなって言われてるみたい。

姉の身代わりで式を挙げたんですって言えたらどんなに良いだろう。

「桜子です。どうぞよろしくお願い致します」

私はお祖父さんに近づき頭を下げる。

「さすが、梅園家のお嬢さんだ。お辞儀が綺麗じゃのう」

「そんな……とんでもない」

「桜子さんは……麻子さんによく似とる」

麻子というのは私の亡くなった祖母の事だ。

「麻子さんとわしは若い頃結婚の約束をしていたんじゃ。だが、梅園家には男子が産まれず、長女だった麻子さんは婿をとらなければならんかった。わしは鷹司家の長男……親に強く反対されてのう、麻子さんとは一緒になれんかった。梅園家との結婚はわしの悲願じゃった。刹那が桜子さんと結婚してくれてわしはうれしい」

おばあちゃんと刹那さんのお祖父さんが恋人だったなんて初耳。

「ちゃんと手術受けて下さいよ」

手術?今は元気そうに見えるけど……何か悪い病気なのかな?

私が考え込んでいると、お祖父さんがとんでもない事を言い出した。
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