イジワルな旦那様とかりそめ新婚生活
一瞬の出来事で私は何が起こったのか理解できなかったが、彼が私から離れるとようやく状況が掴めた。

「何で……」

呆気に取られて口をパクパクさせていると、彼は悪戯っぽく笑った。

「夜中に桜子に抱きつかれて情熱的なキスをされたから、そのお返しだ」

「情熱的なキス……?」

「俺はそんなに昨日読んでた本の王子に似てるか?何度も俺の事を王子さまって呼んでたぞ」

あ、あ、ギャー‼

嘘でしょう?

一気に血の気がサーっと引いていく。

夢だと思ってたのに、王子と間違えて刹那さんにやってたの?

誰でも良いから嘘って言ってよ~!

ああ、もう最悪。穴があったら入りたい。

でも、どこまでが夢でどこまでが現実なの?

あれが全部現実だとすると、私……相当凄いことやってるよ。
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