赤黒いバラ
運転しながら思い出したことがあった。

浪人して大学も受かって部屋を片付けていたときのこと。

「あ…」

忘れていたひとつの封筒。

親にも見つからない場所!と思ったら私自身も忘れていた場所。

封筒には『卒業した桜さんへ』と書かれている。

卒業して1年たってしまっているけど封筒を開けるためペーパーナイフを探しに行く。

貴方のこと忘れないようにしようとしたけど。

貴方のこと結果的には忘れてるようなものになってしまった。

あのときは忘れることが怖かった。

だけど、それが前を向くきっかけともなった。
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