ねえ好きって言って 【完】
こいつのことなんて
何とも思っていないのに。




あー鬱陶しい。




別に恵恋のことなんて
好きじゃないし。
なんでこんなに心臓うるせーんだよ。




心の変化についていけず
戸惑う自分がいた。




暫くすると花火は終わった。




「そろそろ帰るか」




俺はそう言って背を向けると
袖を掴まれた。




「どうした?」

なんでこいつ俯いてんだよ。
てか、いつまで袖掴んでるんだ?




「――りがと」




え?
小さい声すぎて聞き取れなかった。
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