杏ちゃん、結婚しよ




「ねえ、杏ちゃん。あの指輪、つけて見せてよ」


「嫌」


「どうして?」


「どうしても」


「俺のこと、嫌いになった?」


「そうじゃない」


「じゃあ…」


「このままじゃだめなの?っていうか、あなたは本当は今あそこにいて、眠ってるの。生き霊としているんだから、戻れば意識が戻るんじゃない?」


「さっきついていったんだけど、病院に入れないんだ」


「……なんで」


「俺が聞きたい」



最後の一口。





「口いっぱいに頬張る杏ちゃん、好きだよ」


「意識戻してから、言ってよ」


< 14 / 38 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop