杏ちゃん、結婚しよ
面会時間を過ぎて
急いで家に帰った
「おかえり、杏ちゃん」
「タク……」
腕まくりをして、立っていた
「物をね、触れるようになればなって思って気合いいれてたんだけど。
なにも掴めないんだよ」
「もうあたしに…会わな……」
あたしに会っちゃいけない
また危険な状態になるかもしれない…
けど、会わないでって言えなかった
もし…死んじゃったら
最後に話したのは、
あの日の朝
何を話したか
よく覚えてない
毎日そんなかんじだったから
「どうかした?」