君のいいところ、1つしか思いつかない。





**----------------------------**






キーンコーンカーンコーン









授業終了のチャイムが鳴り、はーちゃんたちにバイバイをして、放課後の図書室に向かった。






「篠宮くん!」


「…また来たの」




心の底から面倒臭そうにため息をつく篠宮くんにも、最初は心が痛むこともあったけどすでに慣れた。




「ねえ、今度どこか遊びに行こうよー」


「何で岸田さんと」


「いいじゃん!篠宮くんの好きなところでいいから!」






相変わらず本から目を離さないで嫌だ、と答える篠宮くんに、やっぱり、と笑う。




想像通りすぎる反応も、何故だか愛しいんだ。









「もう帰ってよ」

「何でー?」

「岸田さんが来てから全然本読めないんだけど」





チラリ、とこっちを睨む篠宮くんに、わかったよ、と項垂れる。


今日はおとなしく帰ってあげよう。





そう思って、篠宮くんに手を振って図書室を出た。







と、




「紗月ちゃん♪」




不意にかけられた声に、顔を上げた。







< 15 / 296 >

この作品をシェア

pagetop