君のいいところ、1つしか思いつかない。
「今日だって、なんか素っ気ないし…
晴のために着て来た浴衣だって何も言ってくれないし、それなのに他の女の子の浴衣は褒めるし…っ、
ううん、それは似合ってないあたしが悪いんだけど、だから、もう嫌いになったなら言って…!」
このままだったらどんどん好きになって、止まらなくなって。
そんな時に飽きられてしまったら、あたしはきっと立ち直れない。
どうせ振られるなら早いほうがいいんじゃないかって思って。
とめどなく溢れる涙を手の甲で拭う。
「っ、ごめん…」
謝る晴に、ドクンと心臓が跳ねた。
…何の、ごめんなの?
別れて、って。
そんな言葉が続くんじゃないかと思って。
キュッと目を閉じた。