【完】GUILTY BOYS -囚ワレノ姫-
そしてその後、陸が僕に話しかけてくれることはなかった。
陸に僕が話しかけることもなかった。
だって、怖かったんだ。もし陸に話しかけて、「嫌い」って面と向かって言われるのが。
言われるかもわからないのに、僕は逃げた。
それからは、ひとりになりたくて、ずっと一緒にいた友だちも少しずつ遠ざけた。髪も伸びてきてから、再び切ることはなかった。
陸が隣で笑ってくれない世界は、霞んでいた。
鮮明な世界は、どこかへ消え去ってしまったんだ。
──でも、ただひとつ。
僕が嫌われる覚悟で、陸に話しかけていたら違う未来があったかもしれないと思うたびに、どうしても強くなりたかった。
だから夜のネオン街をふらついて、その時出会った心響に入った。
結局最後まで僕は陸と和解できなかったけれど、それでも。強くなることが、陸への償いになる気がしたんだ。
ちゃんと向き合えなかった、陸への償い。
謝れなかった、陸への償い。
「陸の好きな人だって知らなかったんだ。ごめんね。僕が言っても逆効果かもしれないけど、陸を応援するよ」って言えなかった、自分への、償いなんだ。