【完】GUILTY BOYS -囚ワレノ姫-



だから、岬を選んだ。



「……大人だな」



「そう、ね……」


和泉は、大人だ。私が彼の立場ならきっと、足掻いてしまうんだろう。自分の好きな人なんて、手放せない。



〝神無月〟だから、それが許されなかっただけ。



岬は自由で、だからこそ、私の手を離すことなく傍にいてくれるんだろう。

抱きしめてくれるんだろう。



──好きだと、言ってくれるんだろう。




「お前は誰よりも大人だな、羽歌」



「え?」



「ガキでごめん。

お前と和泉さんが、お互い想ってんのに……それでも俺は、譲ってやれない」



はらりと涙が落ちるのは、和泉への気持ちのせい?それとも、岬の気持ちが痛いほどに実感できるから?

──どっちも、だ。



「俺はたぶん、納得できねぇししたくもねぇ。

好きなヤツのために身を引けるほどお前への気持ちは軽くない」



「……うん。わかってる、わよ」



「お前が誰を好きでも、

──俺はお前が好きなんだよ」



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