【完】GUILTY BOYS -囚ワレノ姫-
羽紗がいなくなってから、彼らは困った。理由は姫という立場の女がいなくなったから。
だから、容姿の似た双子の姉である私を、姫としてそばに置いている。
私も彼も、共に恋愛感情はない。
「羽歌」
彼の声が、私の名前を紡ぐ。
乃唯やほかのメンバーたちが、羽紗を捜してるのは知ってる。
もちろん私も、〝姉として〟あの子を捜してる。
──嫌い、だけど。
昔から、にこにこして私を「お姉ちゃん」と呼ぶ羽紗のことが嫌いだった。
普通の姉妹なら、きっとあの子を好きになれたかもしれないけど。だけど、私たちは神無月だから。
自分の感情に流されてはいけない家に生まれたから、羽紗を大切にできなかった。
出来の悪い妹と、認知することしか。
「乃唯、羽紗は──……」
「………」
「無事、かしらね」