私の横に居る人

私は首を傾げながら、智樹先輩の様子を伺う。

「俺なんて悠ちゃんに近づこうとすると、睨まれるんだぜ。やっぱり健は悠ちゃんの事が好きなのかな？」

「健先輩みたいな人なら、もっと素敵な女性がお似合いですよ。ありえません。」

私はさらっと答えた。

「悠ちゃんは健の事どう思ってるの？」

私から視線をそらす先輩。

「とってもいい先輩ですよ。私に何てもったいないですよ。」

「それは本音？」

参るよな～、智樹先輩は何気に鋭い。

「私、健先輩の事好きですよ。でも先輩としてです。あの明るさに私は元気をもらうんです。でも上手にペースを合わせられなくて。響子先輩みたいに話せたら楽しいでしょうね。」

正直に感じているままを答えた。

「そっか。良い事教えてあげようか？実は響子は健の事が好きらしいんだ。少し前から相談を受けてさ。この旅行で告白するつもりらしい。何とか呼び出してほしいって言われたよ。そろそろこの関係を卒業して、そばにいてほしいと思うようになったんだってさ。」