私の横に居る人
先輩が聞こえるか聞こえないかの声で囁いた。

あったかい胸、多分私と同じくらいドキドキしているような気がする。

それが伝わってくる。

どれくらいの時間が過ぎたんだろう。

先輩は私を離すと、いつものあの優しいホッとする笑顔を向けた。

「ごめんね。大丈夫だった?」

やっぱり私はこの雰囲気が好き。

海の岩陰で腰を下ろした。

「健の奴、どういうつもりなんだろう。」

私にそれを聞きますか…。溜息が出た。

「私にも分かりません。確かに最近お昼に誘われたり、帰りが一緒になったりするなと思っていたんですけど。」

「俺がいない時だよね。」

智樹先輩が唸った。

「確かにそうですね。でも今日みたいにべったりなのは初めてです。」
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