私の横に居る人
健先輩はニヤニヤしながら、嬉しそう。

「そういえば、悠ちゃんは自分の事をちゃんと見つめられたかな?」

私は顔を上げた。

「そうですね、気が付いた事はありますが、ちょっと逃げてるかも。」

私が苦笑いすると、健先輩は太陽みたいに笑う。

「実はさ、俺悠ちゃんの事、智樹から聞いていた。 だから合格発表の日に声をかけた偶然にびっくりした。悠ちゃんは、智樹が君のお父さんに誘わわれて君の家に行った日に、初めて会ったと思っているだろう?でも智樹はその前に君と出会っているらしい。詳しい話はしないが、智樹は君の事を本当に大事な存在だと思っていると思う。あいつは俺達にも余計な事は話さない。だからあいつの気持ちにうすうす気が付きながら、俺は悠ちゃんに告白した。それでもあいつは俺に何も言わない。多分悠ちゃんが俺を選ぶのなら、それを見守る道を選ぶんだと思う。そういう奴なんだ。俺は適わないって初めから分かっていたんだけどな。悪かったな、悠ちゃん。これが言いたくて俺の車に乗ってもらった。」

健先輩は私の頭をなでてくれた。

「なんでなんでしょうね。初めから智樹先輩とはペースが合って、居心地が良かったんです。だんだん私の中に、私の気が付かないうちに入り込んでいて…。私の事を分かってくれる人だと分かった時は、とても嬉しかったんです。でもそれに気が付いてしまうと、今のこの関係を崩したくなくて、このままで良いかなと 動けなくなってしまったんです。麻帆にも言われましたが、自然にこの気持ちを伝えたくなるのを待とうと思ってます。」
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