私の横に居る人
「だって…、こんなに甘えてくる智樹を初めて見るよ。」

私は智樹の顔を覗き込む。

オロオロした顔をした智樹。

「実は自分でもびっくりしてる。悠と会ってから、自分でも時々こんな自分も居るんだって思う時がある。」

口に手を当てると、赤い顔をそらす智樹。

私は智樹の手を取った。

「いろんな智樹を見たい。私にはすべて見せてね。」

私達はまだ始まったばかりだ。

「もちろん。もう悠に隠すものはない。悠こそ俺にすべてを見せろよ。」

智樹が私の大好きな笑顔を見せた。

「悠、そろそろ出る?」

智樹に声をかけられて、私は荷物をまとめようとする。

「着替えなんかは置いていきなよ。これからも必要だろう?」

智樹のいたずらっ子のような笑顔。
< 163 / 190 >

この作品をシェア

pagetop