私の横に居る人
斉藤先輩は不思議そうな顔をした。

「斉藤先輩は、モテそうですね。」

私が聞くと、斉藤先輩はムッとした顔になった。

「健はモテるよ。でも俺は全然。」

どこかでホッとした私。

何でだろう。

「一緒に帰ろうか?そろそろ種明かしもしたいし。」

「…私の事、ご存じなんですよね?あれからいろいろ考えたんですけど、分からなくて…。失礼ですよね。本当にごめんなさい。」

私は申し訳なくて、頭を下げた。

それに慌ててる様子で答える斉藤先輩。

「謝ってもらう事ではないんだよ。多分俺が一方的に知ってるだけだから。悩ませた代わりに、カフェで解決といこうか?」

私はドキドキしながら、頷いた。

この心臓の音が斉藤先輩に聞こえませんように。

初めての感覚にフワフワしたままで、先輩に付いていくのが精いっぱいだった。
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