私の横に居る人
「実はさ、俺と悠ちゃんはこの冬に会ってるんだ。」

カフェでコーヒーを頼むと、早速斉藤先輩は口を開いた。

「最近じゃないですか!私受験中でそんなに人と会ったりしてないのに…。」

「俺の位置からは、顔が見えていたんだけどね。悠ちゃんからは見えてなかったのかもね。」

ますます分からない。

私が難しい顔をして考え込むのを楽しむように、斉藤先輩は続ける。

「俺は、悠ちゃんの家も知ってるよ。」

「まるでクイズみたいなんですけど。」

何で家まで知ってるの?

私は首をかしげるしかなかった。

「俺のバイト先、山本出版なんだ。」

「斉藤先輩は工学部でしょ?どうして?」

「あのさ、悠ちゃん。そっちを突っ込まれると思わなかったよ。」

斉藤先輩は苦笑い。

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