私の横に居る人
「君のお父さんの会社でしょ?」

「そうです。それが関係してるんですか?」

お父さんが何で出てくるの?

ますます分からない。

斉藤先輩が溜息をつく。

「そろそろ気が付いてね。君の家で夕飯をご馳走になったことがあるんだ、俺。」

「あ~!!!」

思わず声をあげた私に、斉藤先輩は自分の口に人差し指を立て、シ~のポーズ。

「あの時の学生さんだったんですか。」

家の前で、帰ってきたばかりの私にも頭を下げて帰って行った…。

あの時の人?

お父さんの会社のバイトの学生さんって…斉藤先輩だったの?

「あれから石野さんの娘さんが受験生だって聞いて、お邪魔するのを遠慮してたんだ。 結構、誘ってもらったんだけど。 だからあれからは会ってないだろう?」

確かに…、私は頷いた。
< 23 / 190 >

この作品をシェア

pagetop