私の横に居る人
二人で選んだ映画は今話題の感動実話。

感情移入し過ぎた私は、上映後も立ち上がれない。

「ごめんなさい。もう大丈夫です。」

あきれられたかな。

でも涙が止まらないうちに移動しても、余計に先輩に迷惑がかかると思った私はわざとグズグズとしていた。

「本当に大丈夫なの?いくらでも待つよ。」

そんなに優しくされると、また涙が出てくる。

「う~、先輩~!」

私はくしゃくしゃの顔をしていたに違いない。

先輩は苦笑しながら、頭を優しくなでてくれた。

やっとの思いで和食の落ち着いた店に入った。

「個室の方がいいでしょ?」

ランチで和食って渋いなって思っていたら、そういう事か。

休みの日の和食のお店は家族連れが多くて、個室に居てもざわつく雰囲気が伝わる。
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