私の横に居る人
「合格者かな?」

私は男の人に声をかけられた。

ここの学生の人かな・

「はい。今から資料をもらいに…。」

「それはおめでとう!ここをまっすぐ行くと、看板が出てるからすぐ分かるよ。俺は、ここの工学部で、春に2年生になるんだ。また構内で、こうやって偶然に会う事もあるかもしれないね。…そうだ、入学式が終わったら、俺達のサークル覗いてよ。旅行好きなら楽しいと思うよ。名前はそのものズバリ旅行研究会。俺は小野田健(おのだけん)。よろしくね。」

何だか馴れ馴れしい人だなと思いながら、私は微笑んだ。

「ご縁があったら。」

私は失礼にならないように、一礼をして、その場を去ろうとした。

「名前だけでも教えて。」

「あっ、文学部に入学予定の石野悠です。」

「石野…?もしかして、自宅生?」

「はい、うちから通います。」

「…ふ~ん。じゃあまた。」

私は、そんな男に人の様子を気にする事もなく、そそくさとその場を離れた。









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