私の横に居る人
背中から私を包み込む先輩。

「せっ…先輩?!」

「俺も何だか嬉しい。ちょっと背中貸して。」

私のお腹に先輩の手が回ると、首筋に先輩の息遣いを感じる。

私は自分が心臓になってしまったみたい。

ドキドキ…、そんなもんじゃない。私は硬直したまま。

「お父さん、もう少しだよ!」

どうやら元気な男の子が登ってきたみたいだ。

先輩は私から慌てて離れた。

私は思わずにっこりと微笑んだみたい。

同じようににっこりと先輩も返してくれた。

二人とも真っ赤な顔をして。

その後はいつもの通り家で夕飯を食べると、智樹先輩は帰って行った。

それは本当にいつもと変わらない光景だった。
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