私の横に居る人
確かに夜道に一人は怖いなと思っていたけど、お父さんと帰るのか~。

お父さんと二人なんて久しぶりかも。

ちょうど作業が終了する頃、お父さんが顔を出した。

「課長、世話をかけるね。」

「無理を言ったのはこちらですから。悠ちゃん、頑張ってますよ。 さすが文学部。言い回しのチェックもしてくれて、本当に助かってます。」

お父さんの前だからか、課長にそんなこと言われてびっくりした。

「娘の事を言われると照れるもんだね。」

お父さんが笑う。

「どうだ、悠、帰れるか?」

「ちょうど終わったところ。片づけするから少し待ってて。」

私は帰り支度をすると、挨拶をしてお父さんと会社を出た。

「お父さんとこうやって歩くのいつ以来かな?」

「会社の帰りも遅いし、休みもなかなか合わないしな。何よりいつもお母さんがいるからな。 本当に二人きりというのは、なかなかないな。」

お父さんも少し考えてから言った。
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