どうぞ、ここで恋に落ちて
そして彼の要求通りにちゃんと言い直す。
「洋太くん、ありがとう。大好き」
ちょっとだけ照れくさくてふにゃりと笑って伝えると、樋泉さんは満足そうにはにかんで頬を赤くし、コクリと頷いた。
キュートでハンサムなスーパーヒーローは、だけどどこか等身大で素敵な人。
樋泉さんは紙袋と2冊の『砂糖とスパイス』をベッドの上からいそいそと回収すると、まとめてチェストの上に置く。
「あの、それって本当にどうやって見つけたの?」
旧訳版の入手ルートが気になって仕方ない私に向かって、樋泉さんは思わせぶりに片方の眉を上げる。
「それは言ったらかっこよくなくなるじゃん」
それからチェストに置いてあったリモコンを手に取ると、フットライトだけを残してなぜか照明を落としてしまった。
「え」
「古都ってば、ほんとにかわいい」
そう言って私の肩を掴み、そのままぽすっとベッドの上に押し倒す。
「えぇ!? ちょ、樋泉さん」
「あ、戻ってるよ」
慌てて慣れた苗字で呼んでしまうと、彼はちゃっかり指摘してくる。
同時に私が着ているシャツの裾を掴み、バンザイをさせると、いとも簡単に脱がせてしまった。