仇打ち

いざ出陣

午前１時。肌寒い風が吹いた。僕たち３人は、古びた神社の前にいる。恐ろしい。逃げ出してしまいたい。だが、僕は逃げ出すわにはいかないのだ。
“百瀬さんと仲良くなる"。それが僕のこの暗闇と連続通り魔の霊に対抗しようとする原動力だった。
僕は先陣をきって神社の中に入った。

ミシ、ミシ、ミシ。
一歩踏み出すたびに、乾いた床の軋む音が静寂の中に響いた。
この神社はそんなに広いわけではない。手前の部屋には仏様。奥の部屋には御輿が奉納されているといういたってシンプルな作りだ。
多分、昼間に訪れれば、まさかこんなところが連続通り魔の霊の住みかだとは思わないだろう。
ゆっくりゆっくりと歩を進め、手前の部屋を制覇した。残るは御輿が奉納されている部屋だ。
戸の取っ手に指を掛ける。僕の手はとても汗ばんでいた。もし本当に連続通り魔の霊がいたら……。嫌な妄想はよそう。
後ろの二人に目で合図をした。堀川と井出はゆっくりと頷いた。僕はガラガラと乾いた音を建てる戸をゆっくりと開けた。