仇打ち

目的

実は、頼人は密かに、犯人はまだ生きていて、未だにこの神社に隠れ続けているのではないかと思っていた
魂霊神社は事件現場から2キロほど離れた場所にある。日夜、本当にここには人がこない。だから、隠れるにはまさに絶好の場所であった。
だが、警察も馬鹿ではないからこの場所も念入りに探したはずだ。それに、もう10年も経っている。未だに犯人が隠れている筈がない。
そう思っていながらも、ここを一度は確認しかった。ただ、自分一人で確かめることは怖くてできなかった。わかってはいても、犯人はまだいるかもしれないという妄想を働かせてしまったからには近づくことができずにいたのだ。
そんなとき、同じクラスに歴史探究部、通称“ぼっちの溜まり場"なるところに所属する生徒がいることを知った。歴史探究部が廃部しそうだということを聞いていたので、これをうまく使えば魂霊神社の真相を確かめられる気がした。そこで、まずその部員を取り込めるために話しかけたのだ。
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