ホップ・ステップ・飛び膝蹴り



「ふへへへ」

「なに? なんかきもいぞ」

「おれたちペアルックみたいっすね!」



あたしの言葉をさりげなく無視した尚の言葉に互いの格好をよく見て……確かに。



ごつめのハイカットはそっくり。

文字の入ってないパーカーも同じだしな。



「お揃いみたいで嬉しいっす!」

「お疲れ」

「待って待って、ちょ、先輩帰らないで本当すんませんっした!」



全力で引きとめてくる尚を引きずったまま歩く。



「待ち合わせして、顔合わせたし、もういいだろ!」

「デートとは⁈」



うるせ。



デートとかやめろ。

あたしが世を儚むから。



腰に尚の腕が回ってきて、ぶわっと体があつくなる。



「……わかってるんす。
先輩はただの勢いで約束してくれたんだって」

「うぐ、……」



ば、ばれてた。



まぁ、さすがにわかるよな。

わかりやすいよな。



でも、さすがのあたしでも、ちょっと気まずい。






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