蟲狩り少女
「光磨、しっかりして!」


体を揺さぶるが、苦しげな呼吸を繰り返すばかりだ。


光磨……もしかして全然体調がよくなってないんじゃないの!?


それなのに学校へ来たのかも……。


あたしは自分の胸がギュッと締め付けられるのを感じ、顔がゆがむのを感じた。


「あたしのせいだ……」


蟲狩り師であるあたしがしっかりしていないから、体調が悪い光磨が無理矢理蟲狩りに来たんだ。


先に視界が歪み、それが自分の涙だという事が後でわかった。


「ごめん……ごめんね光磨……」


泣いたって目の前の現実は変わらないのに、あたしの目からは否応なしに次々と涙があふれ出したのだった。
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