蟲狩り少女
浮き上がった血管。


女性にはないのどぼとけ。


呼吸を繰り返すたびに少し上下する胸さえも、妖艶さを感じずにはいられない。


あたしは光磨の汗をふきながら自分の心臓がドキドキしていることに気が付いた。


早く、終わらせなきゃ。


そう思えば思うほど、緊張で手が震えてくる。


でも、これでもう終わり……。


小さく息をはきだし最後の汗を拭いた時、光磨が目をあけた。


「ありがとう、里音」


さっきよりもずっとしっかりした声だ。


「ううん……。あたしには、これくらいしかできないから」
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