蟲狩り少女
そんなこと考えていたら、光磨が目の覚ましたのかもぞもぞと動き始めた。


体を起こし、両手を突き上げて伸びをしている。


そして不意にクリッと振り向くと、いつもの笑顔を浮かべた。


「おはよう、里音」


「お……おはよう」


いい加減慣れなければと思うのだけれど、光磨の笑顔にあたしはまだドキドキしている。


「なぁ、見て見て」


光磨はそう言い、冬服の上着を一枚ぬいだ。


「なに?」


首を傾げるあたし。


すると光磨はYシャツを腕まくりして、力こぶを作って見せた。


ポッコリと浮き出る筋肉。


「わぁ……すごい」


お世辞ではなく、本当にそう思った。
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