蟲狩り少女
すると光磨は今度は歯を見せてニカッと笑った。


「ならいいんだ」


「でも、どうして筋トレをしているの?」


光磨は元々スポーツが得意で、ある程度筋肉はついている。


平和な日本では十分な筋肉量だったはずだ。


「里音を守るため」


笑顔を向けたまま、光磨はそう言った。


当たり前のように発せられたその言葉にあたしの心臓はドクンと跳ねた。


「え……?」


一拍遅れて、聞き返す。


「聞こえなかった? 里音を守るためだよ」


「あたしを……守る……?」
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