蟲狩り少女
けれど……。


あたしはチラリとお母さんを見る。


少し幸せになったからといって、現実は変わらない。


お母さんは光磨をよくは思っていないようだ。


だけど自分を助けてくれた人を追い返すわけにもいかず、こうして対峙している。


ここはあたしはなんとか話題を振らなければいけない。


「お、お母さん。風邪はよくなったの?」


「風邪……?あぁ。そういえばもうすっかり大丈夫よ。今朝まであれだけ辛かったのに」


そう言い、不思議そうに首をかしげる。


そうか。


お母さんの風邪事態蟲の仕業だったのかもしれない。


「そっか。よかったね」


あたしは笑顔になってそう言う。


するとお母さんも笑顔になる。
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