蟲狩り少女
「ごめんなさい。俺のせいですよね」


しかしその笑顔は光磨のそんな一言によって消えて行ってしまった。


「光磨……?」


「俺の存在が、里音のお母さんの心の隙間になったんだ」


光磨は静かな声で、だけどしっかりとした口調でそう言った。


それは、あたしも感じていた事だった。


お母さんは他に心に隙間を作るような生活は送ってはいない。


毎日平凡だけれど充実していたハズだった。


お母さんの心の隙間は光磨が作った。


そして、あたしの心の隙間も……。


そう考えても口には出せない。


いつも助けてくれている光磨を悪者になんてできない。


心に隙間ができてしまうのは、自分が弱いからでもあるんだ。


だから、あたしは何も言わず、肯定も否定もしなかった。
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