蟲狩り少女
あたしは仕方なく目を開け、光磨を見た。


その表情は真剣だ。


「イトコ同士は結婚もできるんだぞ」


「知っているよ?」


あたしは小首をかしげながらそう言う。


「俺と里音も……結婚できるんだぞ」


その言葉にあたしの心臓は更に早く打ち始める。


光磨が何を言おうとしているのか、理解できた。


恥ずかしくて光磨を直視することもできない。


「なぁ里音……。俺と付き合わない?」


その瞬間胸の奥からジワリと暖かなものが込み上げてくるのがわかった。


今までの思いが通じた瞬間だった。


「あ……あたしは……ずっと光磨の事が好きだったよ」


緊張しながらも、そう言葉を紡ぐ。
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