蟲狩り少女
老朽化が進んでいる校舎の窓はキィキィと耳障りな音を立てながらしまった。


そのまま腰を下ろし鞄の中から文庫本を取り出した。


開くとどのページにも活字が上から下までビッシリと書かれていて、それを目で追っていると心が落ち着いていくのがわかった。


作品は海外作家の有名なミステリー小説。


シリーズ累計150万部を売り上げるベストセラーだ。


あたしは難解な事件に立ち向かっていく探偵を目で追っていく。


あらゆる角度から物事を見つめ、理解し、解読していく。


その主人公の冷静さは自分にも必要なことだった。


だからあたしはこの作品で学ぶべきことも沢山あった。


あたし1人が現実から離れ、空想の世界へと飛び立っていく。


見も心も教室から飛び出して探偵のもとへとひた走って行く。
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