無口なキミと同居します。


なんだ、別に普通じゃないか。
私だけこんなに意識して恥ずかしいったら、ありゃしない。

そうだよ、別に何があったわけでもないし。


自分にたくさん言い聞かせて、部屋を出る彼の後を付いていく。その度、自分が小さく感じるのはまぁ、気にしない。




『………熱は?』



いきなりぴたっと足を止めて、遠野が振り向く。危ない、ぶつかるところだった。



「熱、もうないよー。下がった」



おかげさまでこの通り元気です、とくるっと回ってみせると少しだけ疑いの目線。
なんだよ、下がったってば、ほんとに。



『………無理すんなよ』




彼はそう言って、スタスタと階段を降りて行った。

…ねぇ、彼になにがあったんでしょう。
なんでこんなにも今日、優しいんだろう。



ねぇ、どうしたの。
少し怖いよ、嬉しいけど。




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